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BDな日々

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ニコラ・ド・クレシー『プロレス狂想曲』発売!  

翻訳を担当させていただいたニコラ・ド・クレシー『プロレス狂想曲』(集英社)が発売されました。
republique_couverture2.jpg

元々は、『ウルトラジャンプ』2014年8月号から2015年3月号まで連載された作品です。BDが日本で出版される場合、フランスで出た作品の翻訳であることがほとんどなわけですが、この作品はなんとニコラ・ド・クレシーがウルジャンのために描いてくれた描き下ろし! ニコラ・ド・クレシーと言えば、1990年代のBDの最もとんがっていた部分を担っていた1人ですよ。そんな作家が日本でオリジナル作品を雑誌連載し、それが単行本化される日が来ようとは! 

フランス語版の原題はLa République du catch。直訳すると、「プロレス共和国」という意味で、作中に出てくる主人公と敵対する組織の名前です。ある意味、BDらしいネーミングかなとも思うのですが、日本語に訳した場合に元々のニュアンスがそのまま残るというわけでもなく、このタイトルだと日本人的にはちょっとわかりにくいかなということもあり、作者の了承を得た上で、「プロレス狂想曲」に変更とあいなりました。

ストーリーの概要はこちらをご参照ください。
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-890149-7

今のところ『ウルトラジャンプ』の特設ページから、連載第1話分の試し読みができたりします。
http://ultra.shueisha.co.jp/artist/51/

ニコラ・ド・クレシー作品の読者にとってはおなじみのあんな要素やこんな要素がある一方で、今まで見たことがないような新しいチャレンジも満載です。そもそも2010年以降、BDをやめていたニコラ・ド・クレシーがウルジャンの連載をやろうと思った理由がこの新しいチャレンジでした。ド・クレシー作品はわかりにくいという印象が結構あったりするんじゃないかと思いますが(そもそも翻訳者にとってもわかりにくい!)、この作品を読むと、ちょっと変わるかもしれません。その辺の話は最新の『ウルトラジャンプ』2015年5月号の「ULTRA NEXT」というインタビューページで、翻訳の裏話と合わせてさせていただいていたりします。僭越ながらという感じですが……。
interview_masato.jpg

ところで、『プロレス狂想曲』は、連載時はこんな感じで逆さまに印刷されてまして、雑誌をくるりと回転させると、BDを読む向きで普通に読めるというステキな作りになっていました。
rotation.jpg

日本のマンガとは開きが異なる海外のマンガが日本の雑誌に載ることは過去にもあって、そういう場合は、たいがい巻末に掲載されてきたわけで、これって画期的な発明ですよね!? このすごい発明は寺田克也さんがご自身の単行本に採用されたもので、『プロレス狂想曲』の連載ではそのアイディアを拝借しました。こうすることで、海外マンガに特有の端っこに追いやられた感で寂しい思いをしなくて済みますし、日本のマンガとちょっと異なるものを読むよという心の準備もできるわけです(と編集長が言ってました)。こんな大胆な掲載法を採用してくださった『ウルトラジャンプ』編集部はエラい!

毎号、『プロレス狂想曲』の前のページには、「回転のお願い」ページが設けられていて、それを寺田克也さん、大友克洋さん、松本大洋さん、浦沢直樹さん、上杉忠弘さん、桂正和さん、真島ヒロさん、谷口ジローさんという、錚々たる作家さんたちが描いてくださいました。なんつー豪華さ! あいにくそれぞれの絵は単行本には収められていませんが、これらの作家さんたちにはニコラ・ド・クレシーやBD全体についてお話も伺っていまして、それをこちらのページで読むことができます。皆さんのニコラ・ド・クレシー愛、BD愛をご覧あれ!
「バンドデシネのススメ!!」
http://ultra.shueisha.co.jp/update/372/

『プロレス狂想曲』は、ニコラ・ド・クレシーが日本向けに描いてくれた作品で、まず日本の雑誌に連載されたわけですが、単行本は日仏同時発売となっています。いいですよね、こういうの。もっと増えればいいのに。で、ニコラ・ド・クレシーが送ってくれたフランス語版の写真がこちら。
Republique2versions2.jpg

フランス語版は日本語版より一回り大きくなっています。値段は20ユーロと日本語版に比べるとかなり高め。表紙も違えば、紙質も違います。また、フランス語版には巻頭カラーがありません。やっぱり巻頭カラーは日本だけのものなのか!? フランスのニコラ・ド・クレシー・ファンがこの作品をどう読むのか、すげー気になります。

ちなみに、フランスのBD作家が日本でオリジナルマンガを描いた前例としては、1990年代の『モーニング』の試みなどがあったりします。当時の『モーニング』のことは、昔、文章にまとめたことがありますので、ご関心がある方はぜひ読んでみてください(「1990年代『モーニング』の海外マンガ紹介について」『マンガ研究』Vol.13、2008年4月)。「海外マンガ紹介」とか控えめなタイトルをつけていますが、そんなぬるいレベルではなく、マンガ=世界マンガであるという野心を早々に抱き、攻めに攻めまくった、世界に類を見ない先駆的な試みです。

『モーニング』の試みからはや20年余。これだけネットが普及しても、まだまだマンガ観の違い、文化の違い、やりとりの難しさなどがハードルになっていて、アジアの作家ならまだしも、欧米の作家が日本の雑誌で連載をするのは、そう簡単ではないようです。ニコラ・ド・クレシーのこの作品が引き金になって状況が変わったりすることがあるのかないのか、今後が楽しみなところです。逆にフランスやアメリカで日本人の作家さんがオリジナル作品を発表することも何年も前からあったりしますし、国際的な交流がどんどん進んでいったらおもしろそうですね。
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