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『美術手帖』2016年8月号増刊:「バンド・デシネ」のすべて  

『美術手帖』2016年8月号増刊:「バンド・デシネ」のすべて、発売から一週間ぐらい経ちますが、ようやく通読できました。

IMG_2038.jpg

表紙に書いてある通り、「ルーヴルNo.9~漫画、9番目の芸術~」展開幕に合わせて作られた『美術手帖』の増刊号です。

『美術手帖』さんに声をかけていただき、僕もいくつかの記事でお手伝いさせていただきました。以前、2012年11月号の「特集:荒木飛呂彦」のときに、「バンド・デシネから見る『ジョジョの奇妙な冒険』」という文章を書かせていただいたことがありまして、『美術手帖』さんでお仕事をさせていただくのは二度目になります。

“「バンド・デシネ」のすべて”とはデカく出たなという感じですが(笑)、まあ、ここで仕事をしてるという事情を抜きにしても、実際これ一冊でバンド・デシネのことがいろいろわかる良心的な本になっていると言えそうです。いや、マジで。全体の構成は『美術手帖』のサイトをご覧ください。

僕は今回、「Q&Aで知るバンド・デシネ」、「バンド・デシネの変遷」、「ビジュアルで見る バンド・デシネ名作家選」、「世界コミック市場レポート」、「日本におけるバンド・デシネ 受容と影響の歴史」を担当させていただいています。類書に僕が監修をさせていただいた『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社、2013年)というムックがありますが、この別冊では、ある意味このムックの良い補完ができているのではないかと思います。「ビジュアルで見る バンド・デシネ名作家選」では、ムックが出たあとに邦訳された作家を取り上げていたり(逆に何でこの作家取り上げてないの的なお叱りの言葉もあるかと思いますが、フランス人的に言えば、“C'est pas ma faute.オレのせいじゃない”って感じで、紙幅の関係上どうにもならんかったのです…)、「日本におけるバンド・デシネ 受容と影響の歴史」では、やはりムックではあまり取り上げられなかった日本におけるバンド・デシネの受容史について、簡単ながら、触れていたり。なお、「日本におけるバンド・デシネ 受容と影響の歴史」では、マンガ研究者として少しずつ仕事を公にし始めている新美ぬゑさんのお力を借りました。

さて、本書で僕がお手伝いしている部分は実は微々たるもので、この増刊号の大半の部分は、ルーヴル美術館が出しているバンド・デシネ(=BD)の紹介やBD作家やマンガ家、BD出版社の編集者へのインタビューに割かれています。作家さんへのインタビューは、どれもボリュームたっぷりで、それぞれの個性を存分に堪能できるものになっています。クレジットを見ると、BD作家や編集者へのインタビューで聞き手役をなさっているのは、貴田奈津子さん。1990年代末にエンキ・ビラル作品を邦訳したり、1998年から1999年にかけて、『ふらんす』誌で「9番目のアート バンド・デシネ案内」という連載を担当したり、他にもいろんなところで大活躍された、僕から見たらBD翻訳紹介の大先輩。こういう形でお仕事をご一緒できて光栄です。

ちなみにインタビューに登場するダヴィッド・プリュドムは僕も大好きな作家です。彼のRébétiko (la mauvaise herbe)『レベティコ(雑草)』はいつか訳したいと虎視眈々と狙っているのですが……。ついでに言っておくと、ルーヴルBDプロジェクトの中で僕が好きなのは、彼のLa Traversée du Louvre『ルーヴル横断』とジャン=クロード・カリエール&ベルナール・イスレールのLe Ciel au-dessus du Louvre『ルーヴルの空の上』、そしてマルク=アントワーヌ・マチューの『レヴォリュ美術館の地下』(大西愛子訳、小学館集英社プロダクション)。特に、プリュドムの作品は、ある意味日本のマンガの対極にある変テコかつカッコイイ作品で、ぜひ邦訳が出てほしかった……。

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David Prudhomme, La Traversée du Louvre

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Jean-Claude Carrière & Bernard Yslaire, Le Ciel au-dessus du Louvre

増刊号に話を戻すと、個人的に興味深かったのが、ルーヴル美術館と一緒にルーヴルBDプロジェクト作品を出版しているフュチュロポリス社のセバスチャン・グナディグのインタビュー。「現在フランスでは1作品につき平均の売上げが3000部ぐらい」という発言は衝撃ですが、一方で、ルパージュ兄弟の『月は白い』、ブノワ・コロンバ&エティエンヌ・ダヴォドーの『我らが幼少時代の愛しい国よ』、ジョー・サッコの『ガザ1956』、リアド・サトゥッフの『未来のアラブ人』を例に出しつつ、「一見難解そうな成熟した読者向けのBD作品が、フランスの出版界で、商業的にもかなり成功を収めている」と語っています。出版におけるマンガの割合がめちゃくちゃ大きい日本からしてみると驚きですが、フランスでは、出版におけるBDの割合は年々大きくなりつつあるとはいえ、文芸に比べるとずっと小さかったりします。そんなこんなをいろいろ考え合わせると、マンガとBDの違いがおぼろに浮かび上がってくるような気がしますね。「世界コミック市場レポート」のページで、僕はかなり雑にBD市場を説明してしまっていますが、BDのアクチュアルな一局面を語った、このセバスチャン・グナディグのインタビューを堪能するための前菜的な感じで読んでいただければと思います。

ということで、他にも見どころ、読みどころ満載の『美術手帖』2016年8月号増刊:「バンド・デシネ」のすべて、BD未体験の方は、ぜひこれをきっかけにBDの世界に足を踏み入れてみてください。前に紹介した『芸術新潮』2016年7月号の第2特集「大友克洋と見るバンド・デシネ」、さらには『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』と併せて読めば、きっとあなたもBD通!

この増刊号を通読して思ったんですが、「バンド・デシネ名作家選」的なものは、ぜひ未邦訳作品でやってみたいっすね。2010年以降、かなり多くのBDが邦訳されてきたとはいえ、BDの海は広い。僕が訳したい超絶ステキ作品はまだまだたくさんありますし、僕が知らない作品だってきっとたくさんあるはず。それらをぜひとも紹介したいし、何なら訳したい! 「ルーヴルNo.9~漫画、9番目の芸術~」展は1年ぐらい巡回するっつー話ですし、この機会にそんなお仕事お待ちしてます。まあ、ないか。
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