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BDな日々

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バンド・デシネ関係の日本語の論文  

前回笠間直穂子さんの「フランス小説の漫画化をめぐって」(白百合女子大学言語・文学研究センター編『芸術におけるリライト』アウリオン叢書16、弘学社)という論文に触れ、僕的小説リライトBDということで、フィリップ・ドリュイエの『サランボオ』(この表記は角川文庫版の翻訳に準じています)をあげたわけですが、同じ笠間さんがこんな論文を書いていると教えてもらいました。

笠間直穂子「『サランボー』をめぐって パロディ、オマージュ、カリカチュール」(『CARICATURANA 2015』印刷:七月堂、2016年3月)

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『CARICATURANA 2015』というのは小冊子で、奥付を見ると、“学習院大学大学院人文科学研究所 共同研究プロジェクト「フランス文学における風刺の諸相」CARICATURANA 2015”とあります。

笠間さんの論文は1862年に出版されたギュスターヴ・フローベールの小説『サランボー』が生んだ派生作品を論じたもので、フィリップ・ドリュイエのBDについても詳しく紹介されています。フィリップ・ドリュイエについて語った文章はそう多くはありませんから、ご関心がある方は読んでみてはいかがでしょうか。

ここしばらくあまり熱心に調べてもいませんでしたが、そういえば、日本の紀要論文などでバンド・デシネを扱ったものって結構ありますよね。国会図書館の蔵書検索でも簡単に調べられるものではありますが、整理の意味も込めて、手元にあってすぐに参照できるものだけ以下にまとめてみます。

・小野耕世「戦争が変えていった「タンタンの冒険」の発表形態」(『マンガ研究』vol.1、2002年5月)

・笠間直穂子「ティエリー・グロエンステーン『漫画のシステム』書評」(『マンガ研究』vol.2、2002年10月)

・猪俣紀子「フランスの若者における日本アニメ・マンガの受容」(『マンガ研究』vol.3、2003年3月)

・「特集:ヨーロッパにおける日本マンガ」(『マンガ研究』vol.5、2004年3月)
ジャクリーヌ・ベルント「序文:ヨーロッパという視点」
ジュリアン・バスティード「フランスでの日本マンガ―新しい“大衆文学”―」(猪俣紀子訳)
呉智英「日本マンガとヨーロッパマンガ」
ベアトリス・マレシャル「フランスコミックとBD―「フランスコミック・アート展」展評―」

・中島万紀子「ウリポ(潜在文学工房)からウバポ(潜在マンガ工房)へ―ルイス・トロンダイムにおける潜在性―」(『フランス文学研究』第23号、早稲田大学大学院「フランス文学語学研究」刊行会、2004年、3月)

・猪俣紀子「フレンチマンガライフ―海外マンガ事情レポート」(『日本マンガ学会ニューズレター』vol.9、2005年2月~)

・柴田素子「Bande dessinéeおよび漫画における比較研究―両者のコマに流れる時間について―」(『学習院人文科学論集 14』学習院人文科学研究科、2005年

・稲垣正巳「『タンタンの冒険』について―不死身の身体から生身の身体へ―」(『愛知学院大学教養部紀要』第54巻 第1号 通巻151号、愛知学院大学、2006年

・古永真一「ジョルジュ・バタイユとバンドデシネ」(『ETUDES FRANÇAISES 早稲田フランス語フランス文学論集』No13、2006年3月)

・「特集:マンガの異文化―スイスと日本からみたコミック表現の諸相」(『マンガ研究』vol.9、2006年4月)
ジャクリーヌ・ベルント「序文」
クリスティアン・ガッサー「スイスのコミック」
森田直子「ロドルフ・テプフェールの「版画文学」理論 コミックの本質としての描線と顔」

・古永真一「バンドデシネ・アヴァンギャルド研究―マルタン・ヴォーン=ジェイムズの『檻』について」(『ETUDES FRANÇAISES 早稲田フランス語フランス文学論集』No14、2007年3月)

・鵜野孝紀「フランスのマンガ産業~日本マンガの15年・BDとの融合も~」(『デジタルコンテンツ白書 2007』一般財団法人デジタルコンテンツ協会、2007年8月)

・鵜野孝紀「マンガの出版形態が「バンド・デシネ」に変革を迫っている」(『をちこち』No.19、発行:国際交流基金、発売:山川出版社、2007年10月)

・中里修作「Les aventures de Tintinの技法分析」2007年度慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科ヒューマンセキュリティとコミュニケーション(HC)プログラム修士学位論文、慶應義塾大学湘南藤沢学会、2008年3月

・原正人「1990年代『モーニング』の海外マンガ紹介について」(『マンガ研究』Vol.13、2008年4月)

・古永真一「グラフィック・ノベル/バンドデシネ研究―メビウスとホドロフスキー」(『ETUDES FRANÇAISES 早稲田フランス語フランス文学論集』No16、2009年)

・森田直子「ロドルフ・テプフェールの「版画物語」理論 『フェステュス博士』の自己翻案をめぐって」(『日本フランス語フランス文学会東北支部会会報 NORD-EST』創刊号・第2号合併号、2009年)

・原正人「フランスの図書館におけるマンガ事情」(『現代の図書館』第47巻 第4号 通巻192号、社団法人日本図書館協会、2009年12月)

・森田直子「ロドルフ・テプフェールのジュネーヴ」(『比較文學研究』第95号、すずさわ書店、2010年8月)

・森田直子「風刺物語としての『ジャボ氏』 付:テプフェール「『ジャボ氏』について」(翻訳)」(『ナラティヴ・メディア研究』第2号、奈良ディヴ・メディア研究会、2010年8月)

・森本浩一「イメージと物語―T・グルンステンの著作を手がかりに―」(『ナラティヴ・メディア研究』第2号、ナラティヴ・メディア研究会、2010年8月)

・古永真一「沈黙の音楽表現―フランスのジャズマンガ」(赤塚若樹編集『PHASES(ファーズ)1』首都大学東京大学院 人文科学研究科 表象文化論分野、2011年1月)

・ティエリ・グルンステン「提示主体、叙述主体、および語り手の影(要旨作成:三浦和志)」(『ナラティヴ・メディア研究』第3号、ナラティヴ・メディア研究会、2011年11月)

・ティエリ・グルンステン「マンガにおける身体(訳:森田直子、原正人)」(『ナラティヴ・メディア研究』第3号、ナラティヴ・メディア研究会、2011年11月)

・笠間直穂子「フランス=ベルギー系漫画小史 黎明期から今日まで」(『國學院雑誌』第115巻11号、2014年11月)

・笠間直穂子「『サランボー』をめぐって パロディ、オマージュ、カリカチュール」(『CARICATURANA 2015』、2016年3月)

あんまり大した数はないかと思ってましたが、それなりにはありますね。もちろん漏れはあるだろうし、こういうものとは別に商業誌に載った記事やアンソロジー書籍に収められた論文などもあるわけですが、バンド・デシネに限らず、海外マンガのこういう情報がいずれ公開で共有できるような環境が整えばいいなーと思う今日この頃です。なお、古永さんの論文は『BD 第九の芸術』(未知谷、2010年)に収録されているものもあるかと思います。
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category: 日記

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笠間直穂子さんの「フランス小説の漫画化をめぐって」  

ご恵投いただきました。

白百合女子大学言語・文学研究センター編『芸術におけるリライト』(アウリオン叢書16、弘学社)

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アマゾンはもとより、ネット上にあまり情報が出ていないのですが、以下のサイトで目次の確認ができます。
http://kasamashoin.jp/2016/06/16_7942017.html

2015年に同大学で行なわれたオムニバス授業がベースになっているそうですが、さまざまな芸術における「リライト」の問題を扱った論集です。

この中に、翻訳家・フランス文学研究者の笠間直穂子さんが「フランス小説の漫画化をめぐって」という論考を寄稿されています。小説のマンガ化は日本にもたくさんあることかと思いますが、バンド・デシネにおいても同様でして、この論考はその問題を扱っています。笠間さんはこの中で、フランス小説のバンド・デシネ化の概要を紹介した上で、「文学作品を漫画化した場合の「忠実さ」のあり方」と「原作である文学作品の価値と、それを元に生まれた漫画作品の価値は、どのようにして両立する(あるいは、しない)」のかに着目しつつ、3つの具体例を紹介します。ステファヌ・ウエ『失われた時を求めて』(邦訳あり。白夜書房、第1~2巻、2007~2008年)、ポージー・シモンズ『ジェマ・ボヴェリー』、ダヴィッド・B、エマニュエル・ギベール『深紅船長』。今までこういう切り口でバンド・デシネを紹介した文章はなかった気がします。知らない作品も多々紹介されていて、とても勉強になりました。入手が簡単ではないかもしれませんが(図書館で探すか、版元の弘学社に問い合わせるか…)、ご関心がある方はぜひ読んでみてください。

僕自身はほとんど小説リライトのBDは読んだことがないのですが、ある意味衝撃だったのはフィリップ・ドリュイエによる『サランボオ』でしょうか。以下のページの右のほうに「Planches」というボタンがあって、そこをクリックすると何ページか見られます。
http://www.glenatbd.com/bd/salammbo-l-integrale-9782723479912.htm

category: 日記

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トニー・ヴァレント『ラディアン』第4巻出ましたー  

昨年の夏頃からトニー・ヴァレントの『ラディアン』(飛鳥新社)という作品を訳しているのですが、早いものでその第4巻が発売になりました。

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日本の少年マンガが大好きなカナダ在住のフランス人作家が描いた少年マンガで、一見驚くほど日本の少年マンガしています。魔法使い見習いのセトが、この世界に住む人々を脅かすネメシスという怪物たちを倒し、どうやらそのネメシスの温床であるらしいラディアンという場所を破壊することを目標に、成長をとげていくというお話で、ストーリー的にもいかにも少年マンガ。少年マンガで育ち、未だに『少年ジャンプ』を愛読(『HUNTER×HUNTER』最高!)している僕としては腕が鳴る作品です。

キャラがまたなかなか魅力的で、主人公のセトに師匠のアルマ、魔法学院アルテミスで知り合った仲間のメリとドク、敵のドラグノフにトルク、敵か味方かわからない謎の人物グリムなどなど、個性的なキャラがたくさん登場します。おそらく作者は、今まで読んできたマンガや観てきたアニメからさまざまな要素を引っ張ってきているはずで、訳すほうも、これはここからか? あれはあそこからか? などとあれこれ考え、楽しみながらやっています。

以下で作品の概要をご覧いただけます(図版あり)。こんな作品初めて知ったという方、ぜひ覗いてみてください。

『ラディアン』第1巻
『ラディアン』第2巻
『ラディアン』第3巻
『ラディアン』第4巻

第1巻は導入部に当たりますが、第2巻からセトの最初の本格的な冒険が始まり、第4巻でそれが一段落しました。各巻とも本文は170ページくらいありますので、まとめて読むと、それこそ日本の少年マンガを読んでいるような興奮と感動を味わっていただけるのではないかと思います。

もっともいくらトニー・ヴァレントが日本マンガ大好きとはいえ、『ラディアン』は日本文化と異なるフランス文化から生まれた作品。キャラの性格からセリフの構成、さらには物語全体の組み立て方まで、よく見ると、日本の少年マンガとはなんか違うよなという部分があり、絵柄がいかにも日本の少年マンガなだけに、細かなところが気になるという方もいらっしゃるかもしれません。ですが、たぶんそういうところこそ異文化の醍醐味なのでしょう。大らかな気持ちで楽しんでいただけたらうれしいです。

category: 日記

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